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登場人物紹介

  • ◆サナディー:
      言葉を理解するサナダ虫

  • ◆カナコ:宿主

  • ◆ケイコ:カナコの親友

著者プロフィール

  • 穴澤賢(あなざわまさる)
    1971年大阪生まれ。
    ペットブログ「富士丸な日々」の管理人。
    著書に「富士丸な日々」、エッセイ「ひとりと一匹」などがある。

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第二十四回

午後は、なんだかよくわからないけど並べたイスの間を全員が違う方法で通り抜けるゲームや、歩き回ってカードを出すゲームをやってるみたいだったけど、お腹の中からじゃ、何をやっているのかよくわからなかったんだ。
 
カナコちゃんはそんなゲームを一生懸命やっているみたいだった。たまに何かをいうんだけど、それがカードか何かの決められた台詞をいっているだけだから、ぼくにはどういう意味があるのかわからない。それでもコースが始まってからカナコちゃんの声が、次第にハキハキと大きなものになっていくのがわかったんだ。

「さぁ、みなさん。次は黒赤ゲームというのをやります。黒赤ゲームとはAとB二つのチームに分かれて戦ってもらうゲームのことです。今、真ん中の通路から右側にいる人はAチーム、左側にいる方はBチームです。両チームの代表には黒と赤のプラカードを渡します。代表は、そうですねぇ、青いシャツのあなた、あなたがAチームの代表です。それからぁ、あなた。そう、紺色のスーツの。二人はそれぞれプラカードをアシスタントから受け取ってください」
 
なんだろう。今度はぼくにもわかりそうなゲームだな。ずっと暇だったから嬉しいな。

「これから両チームには、そのプラカードを三回出してもらいます。出すのは同時です。出したカードが黒同士なら両チームにそれぞれ五点が入ります。黒と赤なら、黒を出した方はマイナス五点、赤を出した方に五点が入ります。赤同士ならお互いマイナス三点です。これを三回行いますが、三回目は得点が二倍になります」
 
なんだか知らないけど、おもしろそうだね。カナコちゃんがんばれー。

「さきほどA、B両チームの代表を決めましたが、代表はまわりの人と相談して黒を出すか赤を出すかを決めてください。ただ、くれぐれも出す前のカードが相手チームにばれないように注意してくださいね。いかにたくさんの得点を得られるか、それがこのゲームのポイントですから。チーム内でよく相談してください。出すカードは決まりましたか?いいですね? さぁ、ではまず第一回の投票をはじめます。せーの、でカードを出してください。行きますよー、せーの!」
 
なんか盛り上がってきたぞ。

「はーい! Aチームが黒、Bチームが赤! ということは? Aチームががマイナス五点でBチームが五点獲得です。次に出すカードを相談して決めてください。いいですか? よく考えて。二つにひとつですよ。さぁ、次行きますよー、せーの!」
 
とろこでカナコちゃん、どっちのチームなんだろう。わかんないよ。ま、いいや。とりあえずAチームを応援しよう。

「はーい! Aチームが赤、Bチームも赤! ということは、両チームとものマイナス三点。Aチームがさらにマイナス三点で合計マイナス八点、Bチームはさきほどの五点からマイナス三点で、二点です」
 
Aチーム、ぼろ負けじゃないか。次こそがんばれー!

「次、最後ですよ。ほら、早く相談してください。行きますよー。最後なので得点が倍ですよ。いいですか? 行きますよー、せーの!」
 
Aチーム、負けるなー!

 「はい! Aチームが赤、Bチームが黒。ということは、Aチームがマイナス八点から、五点の二倍で十点獲得、合計プラス二点。Bチームはマイナス十点ですから、合計マイナス八点です」
 
わーい。大逆転だー。Aチームって、カナコちゃんAチームだったのかな。

「今のゲームで何がわかりましたか? Aチームの代表だった青いシャツのあなた」
「はい! 逆転できて、とても嬉しいです!」
「他に、感想は?」
「私ひとりじゃなくて、まわりの人と相談して力を合わせたことが勝因だと思います。ありがとう、みんな!」

「誰が相手に勝てといいましたか?」
「え……?」
「聞こえませんでしたか? 誰が、相手に勝てといいましたか?」
「え、でも……」
「私はたくさん得点を得ることがこのゲームのポイントだとはいいましが、勝ち負けについては何もいっていませんよ」
「でも、普通、ゲームっていったら……」
「そうやってすぐに勝ち負けを決めたがる。誰が相手に勝てといいましたか? 両チームが三回とも黒を出せば、お互いが二十五点になるんです。それがこのゲームの本当の目的です」
「は、はぁ……」

「いいですか、これは重要なことですよ。これが今までのあなたたちのやり方です。自分が勝つことしか考えない。そのためなら相手を蹴落としてもかまわない。違いますか?相手が黒いカードを出してくれているのに、赤を出してきた。それがあなたたちのやってきたことなんです。違いますか! そうでしょう! どうしてお互いに力を合わせるということができないんですか!」 
「……」
「代表の人だけのことじゃありません。まわりで一緒に考えていた人で、お互いが黒だったらいいのにと思っていた人がいますか? いたら挙手してください。……いませんね。そうやって人と競争して、蹴落としてきた人生を送ってきたのが、あなたたちの人生じゃありませんか? これから数分時間をとります。最初につくったグループで、今のゲームの感想について、シェアしてください!」
 
そんなのわかんないよ。ゲームだっていったじゃないか。ぼくだって、カナコちゃんがいるチームに勝って欲しかったし、別に相手を蹴落とそうなんて思ってなかったよ。何怒鳴ってるんだよ。もうわけわかんないよ。

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