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登場人物紹介

  • ◆サナディー:
      言葉を理解するサナダ虫

  • ◆カナコ:宿主

  • ◆ケイコ:カナコの親友

著者プロフィール

  • 穴澤賢(あなざわまさる)
    1971年大阪生まれ。
    ペットブログ「富士丸な日々」の管理人。
    著書に「富士丸な日々」、エッセイ「ひとりと一匹」などがある。

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第二十一回

「では、ここにいる六名でひとつのグループになってもらいます。私のことを呼ぶときは名前ではなく、アシスタントと呼んでください。それでは、みなさん、私の両脇から輪になってください。はい、そうです、そうです。輪になりましたね。これが私たちのグループです。次は自己紹介してください。名前は結構ですので、年齢と職業だけでかまいません。まずは、えーと、あなたから」
 
あ、カナコちゃんからだ。すごい緊張してる。よりによって一番最初なんて。大丈夫かな。

「あ、あの、私は、現在無職で、年齢は二十六歳、です」
「みなさん拍手を。では、自己紹介は順番に、お隣の方、どうぞ」
 
ひとまずちゃんと自己紹介できたね、カナコちゃん。だけど、何かいっただけで拍手されるって変な気持ちだな。簡単な自己紹介しただけなのに、ぼくまで誉められているようで何だかむずがゆいよ。

「私は専業主婦です。年齢は三十五歳です」
「みなさん拍手を」
「あ、私は会社員で営業をしております。年は四十二歳です」
「はい、拍手」
「私は、カメラマンをやっている二十九歳です」
「いいですよ、みなさん慣れてきましたね」
「わ、私は二十三歳で看護士をやっています」
「私たちは仲間なんですよ。仲間の発言には拍手を」
「えーと、私はOLをやっています。年齢は、三十一歳です」
「はい。みなさん大変よくできました。では、それぞれが抱えている悩みについて、シェアしてみましょうか。恥ずかしがることはないんですよ。私たちは仲間です。そして聞いたことは決して他言しませんから。さぁ勇気を出して。さっきと同じ順番でいきましょう。さ、あなたからどうぞ」
 
カナコちゃん、がんばれー。

「あの、私は、うーん、今、仕事も何もかもうまくいかなくて。でもきっと、それは私自身に問題があるとは思っているんですが……。でもどうしたらいいのか……。それに、ずっとうじうじ考えてしまう自分のことがとっても嫌で。だけど、やっぱり考え込んでしまうんです」

「みなさん拍手を。わかりますよ。ついマイナスなことを考えてしまう。よくあることです。ただ、そういう場合、誰にもいえないケースが多いんです。でもここは違います。聞いてくれる仲間がいるんですから。さ、他の方の悩みもシェアしてあげてください。さ、お隣の方は? いったいどんな悩みがあるんですか?」

「はい……。実は私、子どもを叱れないんです。どんなにいけないことをしていても、どこかで躊躇してしまうんです。これじゃ、駄目だ。叱らないと、とは思うんですが。主人からも、お前がちゃんと叱らないからだ、といわれるんですが叱り方がわからないんです。そのくせ主人は子どもにはとても甘くて。そんなとき、子からはバカにしたような目で見られているような気になるんです。まだ二歳でそんなわけないと頭ではわかっているんですが……。私がちょっというと大声で泣き出すし。もう、どうしていいのか……」

「拍手を。大変お辛い状況ですね。でもあなた次第ですよ。ここで思い切り自分の悩みを声に出して、そこからが再出発です。さぁ、次の方」
「えー、ぼくは、仕事人間でここまでやってきました。家族も養ってきました。だけどいつの間にか、そんな家族と距離ができてしまって……。家内には煙たがれるし、娘は口もきいてくれない。どうやってその溝を埋めたらいいのかもわからなくて……」

「拍手を。わかりましたでしょう? 悩みのない人なんていないんですよ、みなさん。さ、次の方」

「私、カメラマンなんですが、女として生まれてきたからには子どもが生みたいんです。でも仕事は辞めたくない。付き合っている人もいるんですが、彼は仕事を辞めてくれっていうんです。年も年ですし、子どもを産むならそろそろ決断をしなくてはいけないのですが……」

「わかります。みなさんも話を聞いているだけじゃなくて、シェアしてくださいね。さ、次の方」

「私、実は、看護士になりたかったんですけど、なってみたら向いてないことがわかって……。勤務時間は長いし、病人にもいろいろな人がいるし。いくら一生懸命やっても、ひどいことをいわれたり……。せっかく資格を取ったのに、どうしようかって……」

「ひとりで悩んできたんでしょうね。でも大丈夫ですよ。私たちが聞いてあげますからね。次の方は?」

「私、職場で嫌われているんです。別に何をしたつもりもないんですが、後輩は隠れて私の陰口ばっかりいってるみたいだし。でも上司はそんなこと知らないし。いっそのこと会社を辞めようとか思ったりもするんですけど、三十一歳にもなって転職というとそれほど楽でもないし。だけど、会社には居づらいし。結婚しようにも相手だっていないし」

「拍手を。どうですか? みんなでシェアしてみると、ちょっと楽になった気がしませんか? カメラマンの方、どうですか?」

「なんだか、話すだけでちょっとだけ楽になったような気がします。自分の悩みを聞いてもらえるって、ちょっと嬉しいです」
「そう。シェアすることが大切なんです。だから、どんな悩みだって、ここでは話してしまえばいいんです」
 
たしかに、カナコちゃんの緊張もなぜかほぐれてきた。
でも、なんていえばいいのかな。うーん、わからないけど、何だか変だよ。

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