エピソード
登場人物紹介
◆サナディー:
言葉を理解するサナダ虫
◆カナコ:宿主
◆ケイコ:カナコの親友
著者プロフィール
「じゃあカナコ、話って何なの?」
「うん……それが……」
「ちょっと、私まだ仕事残ってるんだから。話があるっていうからこうして会社抜け出して来たのに。また戻って明日までにプレゼンの資料作らないといけないんだからね」
「ごめん……ケイコ。やっぱり、いい。仕事の邪魔してごめん」
「あー、もう。わかったよ! 私が悪かった。仕事なんてどうでもいい。聞く! 聞くからいってみなさいよ」
「あのね、ケイコにはいってなかったんだけどね……」
「何?」
「私、付き合ってる人がいるの」
「え? いつから?」
「もう3年ぐらい……」
「どんな人? なんで黙ってたの?」
「それが……付き合ってる、っていう感じじゃなくて……」
「じゃ、どんな感じ?」
「多くて、月に二回会うぐらい」
「相手、何歳?」
「二十四」
「年下なの? へぇ、カナコってそっちだったの?」
「そうじゃないんだけど……」
「どこで知り合ったの?」
「んー、説明が難しいんだけど、街で私がしつこいキャッチセールスに捕まってるときにね、友達のフリをして助けてくれたの」
「へぇ、それで?」
「その後、何かお礼でもって、連絡先を聞いて……」
「ヤッちゃったんだ……」
「違うよ。本当に最初はありがとうございましたってメールをしただけで」
「でも、ヤッちゃったんじゃん」
「それまでにいろいろあるけど、まぁ、最終的には、うん……」
「カナコってさ、そういう話ぜんぜんしてこないから、私もなるべく聞かないようにしてたんだけど、ヤルことはやってたんだね。なんだか安心したよ」
「安心しないでよ。そのことで悩んでるんだから……」
「何を悩んでんのよ。いいじゃん、年下の優しい彼」
「私、遊ばれてるのかな?」
「なんで?」
「こっちから電話しても出ないし、メールだと返事も来るけど、こっちからメールしないとそれもないし。来る日だって相手の都合だし」
「どうなんだろうね。でも、いいじゃん。それぐらい」
「良くないよぉ」
「どうして? カナコだって、たまにエッチぐらいしたくなるでしょう。それでちゃんと男の方から月に何回か来てくれるんなら、楽でいいじゃない」
「でも、それって付き合ってるっていうの?」
「どっちでもいいじゃない、そんなこと。それとも何? その人と結婚したいとか考えてるの?」
「そこまでは考えてないけど、こう、普通のカップルみたいに、デートとかしたいし」
「ふーん。デートかぁ、私もしてないなぁ」
「ケイコは? ケイコは付き合ってる人とかいないの?」
「いないよ。いないけど、そこはまぁ適当に、ね」
「それでいいの?」
「うん。私はね。男ってさ、ほんとバカだからさぁ。下手に付き合ったりすると調子に乗るでしょ。昨日はどこ行ってたんだとかさぁ。なんでいちいち報告しなくちゃいけないのよ。それに今は仕事も大変だし、当分そういうのはいいわ」
「ケイコって、強いよねぇ。だけど私、どうしよう」
「何を?」
「やっぱり、私の他にも誰か付き合ってる人とかいるのかなぁ?」
「んー、はっきりいっちゃえば、いると思うよ」
「やっぱり?」
「そうでしょう。じゃなきゃ、電話に出ないのはおかしいし。相手の部屋には行ったことあるの?」
「一応あるよ。あるけど、それも最初に一回行っただけで、いつの間にか私の部屋で会うのが決まり事みたいになって……」
「部屋に行ったことがあるなら、結婚はしてないかぁ。まだ二十四歳だしね。でも私の友達で付き合ってた男が二十四歳だったんだけど、実は結婚して二児の父だったっていうツワモノもいたけどね」
「えぇ? そうなの?」
「あくまで友達の話だから。でもカナコの、その年下の彼も女のひとりやふたりはいてもおかしくはないよね」
「やっぱり、そうかな……そうよねぇ」
「でもいいじゃない。それだけいい男なんでしょ?」
「ううん。普通」
「きっとさ、遊びたい盛りなんじゃない? ギャンブルにはまったり、お金貸してくれとかいって来ないんならいいじゃない?」
「そんな簡単にいわないでよ。それに……ギャンブルはしないみたいだけど……」
「もしかして、お金貸してんの?」
「うん……少しだけど」
「駄目よ、カナコ。男にお金貸しちゃあ。女にお金を借りる男は最低よ」
そう、最低なんだよ、ケイコちゃん。もう本当に最低の奴なんだよ。
ケイコちゃんからビシッといってやってよ。
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