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登場人物紹介

  • ◆サナディー:
      言葉を理解するサナダ虫

  • ◆カナコ:宿主

  • ◆ケイコ:カナコの親友

著者プロフィール

  • 穴澤賢(あなざわまさる)
    1971年大阪生まれ。
    ペットブログ「富士丸な日々」の管理人。
    著書に「富士丸な日々」、エッセイ「ひとりと一匹」などがある。

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第十一回

「あれ? カナコじゃない?」
「……。え?」
「私、ユミよ! ユミ! ほら、短大で一緒だったじゃない?」
「あ、あぁ、ユミ……?」
「ケイコとは? まだ会ってる? ケイコは元気?」
「え、うん、ケイコは元気よ。何だか雰囲気違うから、一瞬わかんなかったけど、ユミなのね?」
「そうよ。私、そんなに変わった?」
「いや、そういうんじゃないけど、何だか……」
「それよりカナコ、こんなところで何してたの? 平日のお昼だっていうのに」
「うん、ちょっと……」
「ちょっとって、何? どうしたの? はっきりいってよ。久しぶりなんだから」
「う、うん。ちょっと、職安に」
「職安って、カナコ、今無職なの?」
「うん。まぁ……」

「相変わらずだねぇ、カナコは。もっとはっきりしゃべらないと聞こえないよ」
「そういうユミだって、昔は……」
「私は変わった!!」
「ど、どうしたの? 急に大きな声だして」
「ね? 私は変わったの。昔の私じゃない」
「ユミ、なんかあったの?」
「何もないよ。だけど、もう昔の私じゃないの」
「ユミこそ、平日の昼間にこんな街中で何してたの?」
「私、資格を取るために今学校に通ってるの。資格取ったら昔からやりたかった福祉の仕事をするのよ」
「へぇ……、何だか凄いね」
「あ! カナコちょっと時間ある? 久しぶりだしさ、ちょっとお茶でもしようよ」
「うん、どうせ暇だから、いいけど」
 
なんだろう、この人。やたら声が大きいな。でもカナコちゃんを元気づけてくれそうで、何だか楽しみだな。

「それでさ、カナコ。次の仕事はもう決まってんの?」
「ううん、まだ。だから今日は職安で雇用保険の受給資格証をもらいにいって来たとこ」
「そうなんだ。次、決まってないんだぁ。で、これからどうすんの?」
「うん。それもまだ決めてなくて」
「ふーん。じゃあ、ちょっとぐらい時間あるよね?」
「時間は、まぁ、あるけど」
「来週の水曜さ、私にちょっと付き合ってくれない?」
「何を?」
「いいから。今のカナコにぴったりの集まりがあるのよ」
「それって、何の集まり?」
「それは当日のお楽しみ。でも、すっごくためになると思うよ」
「変な宗教とかじゃ、ないよね?」
「違う違う! ぜんぜん違うって。私、そういうの信じないから」
「ほんとに? お金とかかからない?」
「千円だけ。でもね、行ったら千円なんて安いもんだって思うわよ。私が保証する」

「うん、ちょっと、考えさせて」
「考えてないで、まず動かないと! 私だって、その集まりのおかげですっごく前向きに生きられるようになったんだから。それにね、その集まりは紹介者、つまり今回は私がいないと入れないのよ。ね? こんなチャンス滅多にないよ」
「うん、だけど……」
「もう、じれったいね、カナコは。今日私に偶然会ったことだって、きっと運命なのよ。運命なんて信じないなんていわないでね。運命って、本当にあるんだから」
「運命……?」
「もし、今日カナコが家に居たら、私がもうちょっと遅く家を出ていたら、私たちは会わなかったわけよね?」
「それはまぁ……」
「しかも、数年ぶりに。こんなことってある? ただの偶然? それは違うよ。意味があるのよ。現に私には今のカナコの力になろうとしてる。ね? 運命以外、何物でもないじゃない?」
「うん、まぁそういわれれば、そうだけど」
「ね? バカになりなさいよ、カナコ。疑ってばかりいたって仕方ないじゃない。自分から殻を破らないと、何も進まないよ」
「…………」

「カナコはきっと変われる。私、そう信じてる。だって、私だって変われたんだもの。ね? 来週の集まり、来てくれるよね? どうせ暇なんだから、とりあえず来てみても損はしないでしょ? 話を聞くだけ聞いてみて、その後どうするのかはカナコが決めればいいの。私はそこには口を出さないから。私の役目は、カナコをそこへ連れていってあげること。出会わせてあげることなのよ」
「う、うん……」
「決まりね。じゃ、詳しい場所と時間は電話するから、電話番号教えてくれない?」
 
このユミって人、カナコちゃんをどこへ連れて行こうとしてるんだろう。
だけど、何だかハキハキしているし、本心からカナコちゃんのことを心配してくれているみたいだから、何だか楽しみだな。
それで、カナコちゃんが少しでも元気になってくれたらいいのにな。

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